事業承継税制(特例措置)について
2021年08月06日
事業承継税制の概要
事業承継納税猶予は2種類あります。
- 一般措置
- 特例措置 平成30年度改正で10年間の時限措置で設けられた納税猶予
(全株式納税猶予できる)
事業承継税制の内容
後継者(2代目)が相続または遺贈により株式を取得した場合、その株式に相当する相続税の納税を猶予する制度です。
納税は猶予されますが、2代目の死亡や3代目に株式を贈与した場合には納税が猶予されていた相続税は免除されます。
① 一般措置
対象株式数 総株式数の3分の2まで
納税猶予できる割合
相続税・・・対象株式に相当する相続税の80%
贈与税・・・対象株式に相当する贈与税の100%
② 特例措置
対象株式数 全株式
納税猶予できる割合
相続税・・・対象株式に相当する相続税の100%
贈与税・・・対象株式に相当する贈与税の100%
事業承継税制のスケジュール
相続税の事業承継税制
【相続が起きるまでにやるべきこと】
令和5年3月31日までに
『特例承継計画書』を策定し、都道府県知事に提出し確認を受けること
令和9年12月31日までの相続と贈与が対象です。
つまり、特例承継計画書を策定して、かつ令和9年12月31日までに相続または贈与があったものについて適用されます。
一般措置は『特例承継計画書』の作成は不要、かつ期間の縛りはありません。
【相続が発生したら】
相続発生から8ヶ月以内
下記の要件を満たしていることについて、都道府県知事の『円滑化法の認定』を受けてください。
特例承継計画書を添付すること。
円滑化法の認定を受けるための要件
① 会社の主な要件
次のいずれにも該当しないこと
◇上場会社
◇中小企業者に該当しない会社
◇風俗営業会社
◇資産管理会社(一定の要件を満たすものを除きます)
上記に該当しなければ資本金5,000万円以下の会社は会社要件を満たします。
※ 資産管理会社とは『資産保有型会社』と『資産運用型会社』に分けられます。
『資産保有型会社』とは
有価証券、自社で利用していない不動産、現預金等の特定資産の保有割合が70%以上の会社をいいます。
『資産運用型会社』とは
これらの資産からの運用収入が総資産の75%以上の会社をいいます。
ただし以下の要件を満たすときは適用対象会社に該当する可能性があります。
- 従業員が5名以上
- 事務所を所有または賃借
- 商品販売等を3年以上行っていること
② 後継者の主な要件
◇相続開始の日から5か月を経過する日までに会社の代表権を有していること
◇後継者と後継者と特別な関係にある方の議決権保有数50%超
◇後継者が1人の時は後継者グループの中で最も議決権数を保有すること
◇相続開始直前において会社の役員であること
③ 被相続人の主な要件
◇会社の代表権を有していたこと
◇相続開始の直前において被相続人及び被相続人と特別な関係にある人の議決権割合が50%超保有、かつ後継者を除いたこれらの中で最も多くの議決権を有していたこと
税務申告に関わる要件
◇担保を提供すること
◇相続開始の日の翌日から10か月以内に相続税の申告書を提出すること
【納税猶予を継続するための要件】
相続税申告期限後5年間
◇引き続きこの制度の適用を受けた株式等を保有すること
◇後継者が筆頭株主
◇後継者が代表取締役
◇上場しない、風俗営業をしない
◇雇用の8割以上を5年間平均で維持すること(一般措置の場合)
◇資産管理会社に該当しない
以上のいずれかでも満たせなかった場合 → 全額納付&利子税
相続税申告期限後5年間を経過後
◇引き続きこの制度の適用を受けた株式等を保有すること
◇資産管理会社に該当しない
株を譲渡したら → 譲渡した割合だけ納付&利子税
資産管理会社に該当したら → 全額納付&利子税
【猶予期間中】
申告期限から5年
毎年
『継続届出書』を税務署
『年次報告書』を都道府県庁
に提出すること
申告期限から5年経過したとき
雇用確保要件・・・5年間平均8割の雇用を維持
8割以下でも認定取り消し、納税とはならないが減少理由を都道府県に報告すること
申告期限から6年目以降
『継続届出書』を3年ごとに税務署に提出
『継続届出書』の提出がない場合は猶予されていた相続税全額と利子税を納める必要があります。
【後継者の死亡等】
後継者が死亡した場合には『免除届出書』・『免除申請書』を提出することにより、納税が猶予されていた相続税が免除されます。
贈与税の事業承継税制
【贈与が発生したら】
贈与年の10月15日~翌年1月15日までに
下記の要件を満たしていることについて、都道府県知事の『円滑化法の認定』を受けてください。特例承継計画書を添付すること
贈与の場合の後継者の要件(贈与時)
◇会社の代表権を有していること
◇20歳以上であること
◇役員の就任から3年を経過していること
◇後継者と後継者と特別な関係にある方の議決権保有数50%超
◇継者が1人の時は後継者グループの中で最も議決権数を保有すること
先代経営者である贈与者の要件
◇会社の代表権を有していたこと
◇贈与直前において、贈与者及び贈与者と特別な関係にある人の議決権割合が50%超保有、かつ後継者を除いたこれらの中で最も多くの議決権を有していたこと
◇贈与の時において、会社の代表権を有していないこと
その他
◇会社要件、担保提供、は相続税の納税猶予と一緒です。
◇円滑化法の認定書を添付して贈与税の申告を3月15日までに申告すること
【納税猶予を継続するための要件】
贈与税申告期限後5年間
◇引き続きこの制度の適用を受けた株式等を保有すること
◇後継者が筆頭株主
◇後継者が代表取締役
◇上場しない、風俗営業をしない
◇雇用の8割以上を5年間平均で維持すること(一般措置の場合)
◇資産管理会社に該当しない
以上のいずれかでも満たせなかった場合 → 全額納付&利子税
贈与税申告期限後5年間を経過後
◇引き続きこの制度の適用を受けた株式等を保有すること
◇資産管理会社に該当しない
株を譲渡したら → 譲渡した割合だけ納付&利子税
資産管理会社に該当したら → 全額納付&利子税
【猶予期間中】
申告期限から5年
毎年
『継続届出書』を税務署
『年次報告書』を都道府県庁
に提出すること
申告期限から5年経過したとき
雇用確保要件・・・5年間平均8割の雇用を維持
8割以下でも認定取り消し、納税とはならないが減少理由を都道府県に報告すること
申告期限から6年目以降
『継続届出書』を3年ごとに税務署に提出
贈与者が死亡した場合
万が一、この特例を適用中に贈与者が死亡した場合は贈与税の納税猶予が免除された上で、贈与を受けた株式等を贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなして、相続税が課されます。
その際、都道府県知事の確認(『切替確認』といいます)を受けることで、相続税の納税猶予を受けることができます。
まとめ
事業承継税制の手続きについて説明させていただきました。
事業承継税制の適用を受ける流れは一緒と考えてよいと思います。
違う点としては、後継者と贈与者の要件、円滑化法の認定を受ける期間が違うので確認しながら進めると良いでしょう。
この事業承継税制は相続税や贈与税が猶予、最終的には免除されるという節税効果がとても大きな対策です。
しかし、この事業承継税制の適用を受けるには、贈与の場合には現経営者は交代していること役員の期間が3年以上であること、相続の場合には後継者は相続直前において役員である必要があります。
現経営者様が代表権失うことに対してご不安がある場合には安易に進めず、時間をかけて検討するとよいと思います。
上記の懸念事項も予想されるため、事業承継税制は事業承継に強い税理士の先生に相談することをお勧めします。
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