相続税の税額控除について
2021年07月29日
相続税の計算は、お亡くなりになった日現在の財産の価格を集計して相続税を支払いますが、相続税を減少させる方法としては2種類に分類できます。
① 相続の財産の価格を減少させる(財産の評価額の減少)
② 相続税を減少させる(税額控除)
小規模宅地等の特例が①に該当します。
配偶者に対する相続税額の軽減は②に該当します。
今回は②の税額控除についてお話させていただきます。
目次
税額控除の種類と内容
配偶者に対する相続税額の軽減
この税額軽減は、配偶者が取得した財産に対して課される相続税を軽減させる制度です。
配偶者の相続税だけが軽減されます。ほかの相続人には適用されません。
具体的に軽減できる税額は
- 1億6000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
のどちらか多い金額です。
ただし、未分割の場合には税額軽減の適用はありません。
この制度を適用すると、相続税が発生しないことがあります。
ただし相続税は発生しなくても、将来配偶者がお亡くなりになった時には相続税を納める可能性があります。
ケースによっては適用しないほうが良い場合があります。
最初の相続(『一次相続』といいます)と次の相続(『二次相続』といいます)を一括りで考えて配偶者に対する相続税額の軽減の活用の仕方を相続に強い税理士の先生と相談したほうがよいでしょう。
贈与税額控除
相続税では、亡くなった時点での被相続人所有の財産に相続税を課税するだけではなく、なくなった日から3年以内に贈与で取得した財産も相続財産としてカウントしなければなりません。
3年以内に贈与で取得した財産については、既に過去において贈与税を納めていることがあります。
既に納めている贈与税については、『相続税の前払い』と考えるので、相続税から控除します。
従って、贈与税を納めていない場合にはこの税額控除を適用することはできません。
未成年者控除
相続人が未成年者の時は、相続税額から一定の金額を差し引きます。
控除できる金額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した金額です。
例 12歳8か月の場合
8か月を切り捨てて12歳で計算します。この場合20歳になるまでの年数は8年です。
従って、未成年者控除額は10万円×8年=80万円となります。
なお未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいことがございます。この場合控除しきれない部分の金額は、その未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
※扶養義務者とは
配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、三親等内の親族のうち一定の者をいいます。
三親等内の親族で一定の者とは、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった者や三親等内の親族で生計を一にする者も扶養義務者に該当します。
障害者控除
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税額から一定の金額を差し引きます。
控除できる金額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した金額です。
特別障害者の場合は、1年につき20万円で計算した金額となります。
また障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいときは、その引ききれない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
※特別障害者とは次に掲げるような心身に障害のある方をいいます。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方
- 重度の知的障害者と判定された方
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方で等級が1級と記載されている方
- 身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている方で障害の程度が1級または2級と記載されている方
- 原子爆弾被爆者で厚生労働省の認定を受けている方
- いつも就床していて、複雑な介護を受けている方
- その他一定の方
※扶養義務者とは
配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、三親等内の親族のうち一定の者をいいます。
三親等内の親族で一定の者とは、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった者や三親等内の親族で生計を一にする者も扶養義務者に該当します。
相次相続控除
今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続などで財産を取得し相続税が課税されいたことが前提となります。
その被相続人から相続などで財産を取得した相続人の相続税から一定の金額を控除するのが相次相続控除です。
言い換えますと、今回の相続の被相続人が過去10年以内に相続税が課されていない場合には
相次相続控除の規定の適用はございません。
実は相続税額が加算される場合もある
相続税額の2割加算
相続などにより財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人になった孫を含みます)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。
※代襲相続人とは、被相続人の子が相続開始以前に死亡したときなど、その相続権を失ったときは、その者の子が代襲相続人となります。
※一親等とはご自身から見て父、母、お子様が一親等にあたります。つまり被相続人から見た場合の一親等とは被相続人の父、母、お子様が一親等に当たります。養子も一親等に該当します。
相続税額の2割加算となるケース
ケース1 被相続人の子が死亡していないときにお孫さんに相続財産を遺贈したとき。
そのお孫さんの相続税額は、計算した相続税額にその相続税額の2割を加算した金額が相続税額となります。
※遺贈とは
遺贈とは遺言により財産をあげる行為をいいます。
ケース2 被相続人の兄弟姉妹が相続などで財産を取得したとき。
被相続人の兄弟姉妹の方は、相続税額の2割加算の対象となります。
ケース3 孫を養子とした場合、いわゆる孫養子に該当するとき。
孫養子に該当するときは相続税額の2割加算の対象となります。
ただし『孫養子』の場合でも、『代襲相続人』に該当する場合には相続税額の2割加算は不要となります。
まとめ
相続税の税額控除は様々な種類がございます。
税理士に依頼するときは相続人皆様自身の健康状況や過去の相続の申告状況、贈与税の状況など正しく税理士の先生にお伝えしましょう。
また、相続税の申告を税理士の先生に依頼するのでしたら、相続に強い税理士の先生に依頼することをおすすめします。
様々な税額控除の適用の可能性を税理士の先生のほうから先回りしてヒアリングしてくれるので、税額控除の適用漏れのリスクを抑えることができると思います。
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