遺留分と法定相続分との違いは?計算方法や遺留分対策をわかりやすく解説
2022年01月15日
目次
遺留分と法定相続分の違い
遺留分とは
遺留分とは、亡くなった方の遺産のうち、相続人が必ず相続できる最低限の割合のことを言います。
亡くなった方の遺産は、相続人同士で話し合うか、遺言書に従って相続するのが一般的です。
しかし、遺言がある場合に遺留分の問題が出てくる場合があります。
例えば、
「遺産は長男に全て相続させる」
「遺産は内縁の妻に全て相続させる」
といった遺言がのこされていたような場合に、
他の相続人から不満が出てしまうようなことがあります。
こういったケースの対策として、
遺言の内容に関わらず、相続人が最低限相続できる割合が法律で決められています。
ただし、どのような場合でも必ず遺留分に従わねばならないわけではありません。
当事者が納得しているような場合には、当事者間の話し合いで遺産の分け方を決めても構いません。
遺言に書かれている遺産の分け方について不満が出たような場合に、
「遺留分を侵害された」と主張することによって、最低限遺産を相続することができるようになります。
具体的に「誰が・どのくらいの遺留分を主張できるのか」については、
「2遺留分の割合・計算方法」をご覧ください。
法定相続分とは
法定相続分という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
法定相続分とは、法律で定められた相続人の遺産の取り分の目安のことを言います。
ただし、これは単なる目安なので、実際の遺産相続はこの割合に従う必要はありません。
ここでは代表的な3パターンだけ押さえておきましょう。
- 子供がいる場合は配偶者が1/2、子供が1/2です。
- 子供がいない場合は、配偶者が2/3、親が1/3です。
- 子供も親もいない場合は、配偶者が3/4、親が1/4です。
例えば、遺言が無いような場合などで、遺産の分け方の目安としてこの法定相続分に従うといった場合で用いられることがあります。
ただし、法定相続分には強制力はありませんし、当事者間の話し合いで分け方を決めることができれば、法定相続分という考え方には従わなくても大丈夫です。
遺留分と法定相続分の違いまとめ
遺留分は「主張をされたら必ず守らなければならない割合」のことを言い、
法定相続分は「単なる遺産の分け方の目安」のことを言います。
遺留分は、侵害されたことを主張することで最低限もらえる遺産が保障されており、
当事者間で納得していれば遺留分に従う必要がありません。
遺留分の割合・計算方法
配偶者がいる場合
配偶者のみ(子も親もいない)
亡くなった方に子も親もおらず、配偶者のみがいる場合、
配偶者の遺留分は遺産の1/2となります。
配偶者と子がいる
亡くなった方に配偶者と子がいる場合、
配偶者の遺留分は遺産の1/4、子の遺留分も遺産の1/4となります。
なお、子が2人いる場合の遺留分は1/4×1/2=1/8ずつ、
子が3人いる場合の遺留分は1/4×1/3=1/12ずつといったように、
子が複数いる場合は子の遺留分である1/4を子の人数で平等に分け合うように計算します。
配偶者と親のみ(子はいない)
亡くなった方に子がおらず、配偶者と親がいる場合、
配偶者の遺留分は遺産の1/3、親の遺留分は遺産の1/6となります。
なお、親が父母ともに健在の場合の親の遺留分はそれぞれ1/12ずつとなります。
配偶者と兄弟姉妹のみ(子も親もいない)
亡くなった方に子も親もおらず、配偶者と兄弟姉妹のみがいる場合、
配偶者の遺留分は遺産の1/2となり、兄弟姉妹の遺留分はありません。
配偶者がいない場合
子がいる(配偶者はいない)
亡くなった方に配偶者がおらず、子がいる場合、
子の遺留分は遺産の1/2となります。
なお、子が2人いる場合の遺留分は1/2×1/2=1/4ずつ、
子が3人いる場合の遺留分は1/2×1/3=1/6ずつといったように、
子が複数いる場合は子の遺留分である1/2を子供の人数で平等に分け合うように計算します。
両親のみ(子も配偶者もいない)
亡くなった方に子がおらず、親がいる場合、
親の遺留分は遺産の1/3となります。
なお、親が父母ともに健在の場合の親の遺留分はそれぞれ1/6ずつとなります。
兄弟姉妹のみ(配偶者も子も親もいない)
亡くなった方に配偶者も子も親もおらず、兄弟姉妹のみがいる場合、
兄弟姉妹の遺留分はありません。
遺留分が認められない人
相続欠格者となった場合
遺産を相続することを目的として殺人や詐欺・脅迫といった行為を犯したり、遺言書の偽造・隠蔽・破棄などをしたり、無理矢理遺言を書かせたような場合、
「相続欠格者」となってしまい、遺留分の主張ができなくなります。
たとえ、遺言で相続欠格者に対し財産を遺す内容が書かれていたとしても、
相続欠格者は財産を相続することができません。
相続人排除の扱いを受けた場合
亡くなった方を虐待したり、浪費・遊興・犯罪・反社会団体への加入といった親不孝行為などをした場合、
「相続人排除」となれば、遺留分の主張ができなくなります。
「相続人排除」の扱いとなるためには、生前に家庭裁判所で申立てを行うか、遺言に相続人排除を扱いとしたいといった内容を記す必要があります。
相続放棄をした場合
相続人同士の話合いで誰かが「相続しない」ことを決める「遺産放棄」と間違われやすいのですが、全く異なります。
相続放棄とは、家庭裁判所に申し立てることによって「初めから相続人ではなかったことにする」手続きです。
相続放棄をした場合は、説明した通り、初めから相続人ではなかったことになりますので、遺留分の主張ができなくなります。
遺留分でトラブルが起きないようにするために
遺言書
遺言書に書かれた遺産の分け方が遺留分を侵害しているような場合にトラブルが起こります。
そのため、遺言を作成する時点で、遺留分を侵害していないような遺産の分け方を指定しておくことが肝心です。
遺産の分け方でのトラブルは、どんなに仲の良い家族でも起こり得る問題です。
遺言には「付言事項」と言って、家族への最後のメッセージを記載することができます。
遺留分を侵害するような遺言書となってしまう場合や、トラブルが想定されるような場合には、
この「付言事項」において、遺留分を主張しないでほしいというメッセージや、
トラブルを避けてほしいというメッセージを記しておくことが効果的になることもあります。
ただし、付言事項はあくまでも「メッセージ」なので、法的な強制力はありませんのでご注意ください。
生前に遺留分の放棄をしてもらう
「遺留分の放棄」とは、相続人自らが遺留分の権利を放棄することを言います。
遺産を巡るトラブルが予想されるのであれば、
生前のうちに遺留分の権利を放棄してもらうことで、遺留分を巡るトラブルを防ぐことができます。
生前に遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所での手続きが必要となります。
生命保険
相続の分野において、生命保険は特殊な扱いを受けるケースが多いです。
受け取った生命保険金については、遺留分を計算する財産から除いても良いことになっているのです。
生前に加入する生命保険金の額が大きくなれば、その分だけ遺留分を計算する財産が減ることになりますから、
結果、主張される遺留分の額は低くなります。
ただし、遺留分を意識しすぎるあまり、著しく不公平な生命保険の活用をしたような場合は、
生命保険を用いた遺留分対策が認められなくなることがあります。
まとめ
相続税の申告は、誰しもが何度も経験するものではありません。
言ってみれば、みなさん全員が初心者なのです。
税理士ですら相続税については詳しくない税理士が多いので、
みなさんが相続について詳しくないのは当然のことです。
なんと、税理士に依頼したとしても担当税理士によって納税額は何倍にも変わってくることがあるくらい、相続税は特殊な税金なのです。
落とし穴に気づかなければ大きな損をしてしまう可能性があるので、自己判断で進めていくのは危険です!
私たちは相続に特化した税理士事務所として、「相続初心者の方向け」のサービスを徹底しています。
多くの方が感じている税理士の敷居の高さを壊して、安心して任せていただけるよう、
わかりやすいサポートを行うことをモットーとしています。
相続税の概算や、生前対策の相談なども行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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