【2021年版】自宅で親の遺言書を見つけたら?自分で開封は×
2021年12月05日
目次
自宅で遺言を見つけたら?
両親や親族が亡くなって、お通夜も告別式も終わったころ、遺品を整理していると遺言書を発見。
遺産のこと、遺族へのメッセージなどが書かれている遺言書ですので、どのようなことが書かれているか気になってしまうでしょう。
しかし、自宅や貸金庫などで保管している遺言書には開封までの過程をしっかりと守らなければ、過料(罰金)が科されたり、場合によっては遺言書自体が無効になったりする可能性があるのです!
ここでは、自宅で遺言が見つかった時にどのような手続きを踏めば良いのかを解説していきます。
自分で開封は×!家庭裁判所で「検認」をしなければならない
自宅や貸金庫などで遺言書を見つけた場合、勝手に開封してはいけません!
公証役場で保管している公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所で「検認」しなければならないと法律で定められています。
「検認」とは簡単に言うと、「証拠を保全する手続き」のことです。
公証役場で保管している遺言書は、偽造などがされないように厳正に保管されています。
しかし、自宅や貸金庫で保管している遺言書は偽造や加筆修正がされないよう厳正に保管されているわけではありません。
ですので、家庭裁判所で検認手続きを行うことで、自筆証書遺言を「法的に使える状態」にしなければならないのです。
ただし、自筆証書遺言の書き方や内容自体に不備がある場合には、そもそもその遺言自体が無効である可能性もありますので、あくまで「法的に正しく作成された自筆証書遺言」が「法的に有効」になるのです。
もし自分で開封してしまったら?
冒頭で、「罰金」や「無効」と、少し怖いことを言ってしまいました。
確かに、民法では検認をしなかった場合には5万円以下の過料に処すると規定されています。
しかし、うっかり開封してしまったり検認せずに遺言を執行してしまったりした場合に、すぐさま過料(罰金)が科されるということは実際にはあまりありません。
うっかり開封してしまった場合には、家庭裁判所に連絡して経緯を話しましょう。
うっかり開封してしまったというだけですぐに無効になるなんてこともありませんので、すみやかに家庭裁判所で検認の手続きを進めましょう。
※連絡する家庭裁判所は、遺言者(亡くなった方)の最後の住所地を管轄にしている家庭裁判所です。
家庭裁判所での検認の流れ
自筆証書遺言を見つけたら家庭裁判所で検認を行います。
実際に検認の流れはどのようになっているのか、解説していきます。
家庭裁判所への申立て
まず、家庭裁判所への申立てから始まります。
申し立てる家庭裁判所は、遺言者(亡くなった方)の最後の住所地を管轄にしている家庭裁判所です。
その際、下記の必要書類を持参しなければなりません。
- 遺言書の検認の申立書
- 当事者目録
- 遺言者(亡くなった方)の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 収入印紙
- 連絡用の郵便切手
「遺言書の検認の申立書」と「当事者目録」については裁判所のHPからダウンロードすることが可能です。
「遺言書の検認の申立書」と検索すると裁判所のHPが出てきますので、どちらの書類もプリントアウトできるようになっています。
なお、この申し立てには遺言書1通あたり800円の収入印紙が必要となります。
裁判所によって若干取扱いが変わることもありますので、所轄の家庭裁判所に連絡して、その他の注意点も聞いておくようにしましょう。
検認の立会い
申立てが終わると、後日検認の日程が決められます。
その検認の日(検認期日)に相続人立ち会いのもと、遺言書の内容や形状などを確認します。遺言書や印鑑、その他家庭裁判所から指定されたものを持参しましょう。
冒頭でお話したように、「検認」とは単に「証拠を保全する手続き」のことなので、検認をしたからといってその遺言自体が有効かどうかとは無関係です。
そもそも法的に正しくない形式の遺言は、検認をしたからといって法的には無効となってしまうので注意が必要です。
検認の立会いが終われば、検認済証明書を取得する必要があります。
これは不動産登記などの場面で必要となってきますので、保管しておきましょう。
なお、取得には150円の収入印紙が必要となります。
検認には1か月以上の時間がかかってしまうこともしばしばあります。
まとめ
遺言書が見つかったら、検認完了まで1か月以上かかってしまいます。
しかし、検認が終わるまでただ待っていたとしても、相続税の申告に必要な期限がどんどん迫ってきてしまいます。
検認の手続きを進めつつ、その内容をベースとしてあらかじめ相続税の概算計算を依頼するなど、専門家に早めに相談することが最善の相続税申告のキーポイントです。
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